こんばんわ。管理人の来栖あさひです。
今回の記事は『失業保険の申請で特定受給資格者として退職する為の条件について』というお話になっています。
一般的の受給資格者(自己都合退職)の場合には3ヶ月間の給付制限がありますが、特定受給資格者になれると給付制限なし(会社都合退職の扱い)で失業保険を受給し始められるという素晴らしい制度です。
この記事では特定受給資格者になる為の条件について紹介していきたいと思いますので、転職を考えている人はぜひ参考にしてみてくださいね。
特定受給資格者の条件とは?
雇用保険の被保険者になっている人は、会社を退職した際にハローワークで手続きを取ることで失業保険(失業給付)を受けることができます。
ただし、前述の通り自己都合で退職した場合は手続きをしてから7日間の待機期間の後に3ヶ月間の給付制限がある為、収入的に厳しい期間ができてしまいます。
しかし、特定受給資格者の条件をクリアしている場合は会社都合の扱い(上記の3ヶ月の給付制限なしでの給付開始)として適用され、自己都合の場合よりも給付日数も多くなります。
そのほかにも特定理由離職者も同様の扱いにできるのですが、こちらは別の記事で紹介していければと思います。
では、今回は特定受給資格者の条件について見てみましょう。
◎「倒産」等により離職した者
①倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者
②事業所において大量雇用変動の場合(1か月に30人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される3分の1を超える者が離職したため離職した者
③事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者
④事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者
◎「解雇」等により離職した者
①解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)により離職した者
②労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
③賃金(退職手当を除く。)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったことにより離職した者
④賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)
⑤離職の日の属する月の前6か月間のうちに3月連続して45時間、1月で100時間又は2〜6月平均で月80時間を超える時間外労働が行われたため、又は事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じていなかったため離職した者
⑥事業主が法令に違反し、妊娠中若しくは出産後の労働者又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと又は妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用をしたこと等を理由として不利益な取扱いをしたため離職した者
⑦事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者
⑧期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(平成30年2月5日から平成34年(令和4年)3月31日までに契約更新上限の到来により離職した場合で、下記の①〜③に該当する場合を含む。)(※)
(※)①契約更新上限が当初の有期労働契約締結時に設けられておらず、当初の有期労働契約締結後に設定された場合又は不更新条項が追加された場合
②契約更新上限が当初の有期労働契約締結後に引き下げられた場合
③基準日(平成24年8月10日)以後に締結された4年6か月以上5年以下の契約更新上限がある有期労働契約の契約更新上限の到来(定年後の再雇用に関し定められた雇用期限到来を除く。)により離職した場合。ただし、基準日前から、同一の事業所の有期雇用労働者に対して、一様に4年6か月以上5年以下の契約更新上限を設定していた場合を除く。
⑨期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記⑧に該当する者を除く。)
⑩事業主又は当該事業主に雇用される労働者から就業環境が著しく害されるような言動を受けたことによって離職した者
⑪事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)
⑫事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した者
⑬事業所の業務が法令に違反したため離職した者
引用元:雇用保険事務手続きの手引き《令和元年8月版》
基本的には「倒産」等により離職した者についてという部分が、一般的に言われる「会社都合の退職」ではないかと思います。
特定受給資格者の給付日数
特定受給資格者の場合、一般の受給資格者と比べて給付日数の優遇も受けることができます。
具体的にはこのようになりますね。
◎一般の受給資格者の所定給付日数
(被保険者であった期間…所定給付日数)
65歳未満共通
10年未満…90日
10〜20年未満…120日
20年以上…150日
◎特定受給資格者の所定給付日数
(被保険者であった期間…所定給付日数)
30歳未満
1年未満…90日
1〜5年未満…90日
5〜10年未満…120日
10〜20年未満…180日
20年以上…適用なし
30〜35歳未満
1年未満=90日
1〜5年未満=90日
5〜10年未満=180日
10〜20年未満=210日
20年以上=240日
35〜45歳未満
1年未満…90日
1〜5年未満…90日
5〜10年未満…180日
10〜20年未満…240日
20年以上…270日
45〜60歳未満
1年未満…90日
1〜5年未満…180日
5〜10年未満…240日
10〜20年未満…270日
20年以上…330日
60〜65歳未満
1年未満…90日
1〜5年未満…150日
5〜10年未満…180日
10〜20年未満…210日
20年以上…240日
引用元:雇用保険事務手続きの手引き《令和元年8月版》
所定給付日数が増えれば、早期に再就職した場合にもらえる再就職手当がもらいやすくなり、かつその支給額も増えることが見込まれます。
給付制限なしで所定給付日数も増えるので、ぜひ積極的に特定受給資格者を目指していただきたいと思います。
さて、今回見ていきたいのは特定受給資格者の条件をクリアして「自己都合の退職」をする方法ということですよね。
私自身が退職前に複数回に渡って、ハローワークで要件の適用について聞いてきましたので、紹介していければと思います。
特定受給資格者として退職するには?
上記の条件を見てみても、よくわからない言い回しだと思います。
ですので、これから退職しようとされる人は、以下の点に留意してもらうと良いかと思いますので、見ていきましょう。
- 上記④の賃金の低下については、出来高払制の賃金の場合には適用されず、あくまでも基本給ベース(残業代などの割増賃金は含まない)で85%未満となった(もしくはなる)者で、かつそれを予見できなかった場合に限る。
- 上記⑤の時間外労働について、基本的には時間外労働を命じられていた場合。ただ、裁量労働制だった場合でも、時間外労働の実績があれば(自ら裁量労働制であったと言わなければ)基本的には受理される。
- 上記⑧⑨の有期労働契約は、3年を超えて雇用を継続されていた場合、または年齢などの要件について当初の有期労働契約の締結後に基準が引き下げられた(もしくは条項が新設された)場合。
- 上記⑩の就業環境については、その言動など(いわゆるイジメ・パワハラ・モラハラ・セクハラなど)を証明できる文書、音声などがあること。また、本人に著しい過失がある場合などは受理できない場合もある。
- 上記⑫の3ヶ月引き続いた休業については、あくまでも使用者の責めに帰すべき事由(営業不振や社内の不祥事などの原因による雇用調整をする場合など)に限られるので、新型コロナウイルスなどの影響により休業した場合などは使用者の責めに帰すべき事由として判断されない。
いかがでしたか?
これらについては、自分で判断して行動してしまうと、思う通りの結果にならずに失敗してしまう恐れもあります。
まずは管轄のハローワークで相談員に相談しながら、自分が適用できそうかどうかを確認しながら進めるべきですね。
※また、新型コロナウイルスの影響による退職の場合、特定受給資格者ではなく別の要件にて適用できる場合がありますので、確認してみてください。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
現在、新型コロナウイルスの影響により様々な分野・業界において雇用の確保が難しくなっている状況です。
転職を検討している人の中にも、失業保険(失業給付)によって最低限の生活をカバーしたいけれど、3ヶ月間の給付制限があるから、とあきらめていた人がいらっしゃったのではないでしょうか。
今回の記事を読んで自分にも当てはまりそうだという人は、ぜひ管轄のハローワークで確認してみてくださいね。
(最終更新日:2020.08.13)
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